次回例会は、チェリストの植草ひろみさんと、二胡奏者の鳴尾牧子さんのお二人の名手による、〝東西の弦楽器〟のコラボレーションのステージです。
今回のブログでは、お二人へのインタビューをご紹介します。
今回のブログでは、お二人へのインタビューをご紹介します。
聞き手 小巻健(三木労音事務局長)
写真左:植草ひろみさん、右:鳴尾牧子さん
植草ひろみさん、鳴尾牧子さん、楽器も異なるお二人を結びつけたのは、西宮市在住の中北富代さんという方。鳴尾さんの二胡の生徒でもあり、自身のお身内の方を通じて植草さんを知りファンになられ、いつかこのお二人で演奏を、と夢見るようになられたのは随分前からだったとのこと。
それが実現したのが昨年2025年1月。中北さんが中心となり神戸で開催された阪神・淡路大震災30年メモリアルコンサートの時でした。震災で娘さんを亡くされた中北さんは、亡き娘さんに後押しされるように、これまでに外国語大学受験、ドキュメンタリー映画製作など、様々な挑戦をされてきました。そして昨年開催されたメモリアルコンサートでは、中北さんの思いから新たな素敵なデュオが誕生。それが今回、三木労音例会にご登場いただくお二人です。
先日4月11日には神戸市灘区の音楽ホール&ギャラリー里夢でCD発売記念コンサートを開催。コンサート終了後にお二人にお話を伺いました。
◇
―植草さん、鳴尾さん、お二人は昨年初めて一緒に演奏されたとは思えないほどとても仲が良い印象ですが、お二人がそれぞれ相手のお人柄や楽器に対してどんな魅力を感じておられますか?
鳴尾牧子さん(以下、鳴尾さん) 最初は中北さんや他の方から「植草さんというすごいチェリストがいる」と聞いていたので、初めてお会いした時はちょっと緊張しましたが、実際はすごくお茶目な方。本当はすごい演奏や経歴の持ち主ということを忘れさせてリラックスさせてくれるお茶目なお姉さんです。
チェロの音色はものすごく響きが深く、カッコいい。その響きに合わせて弾ける幸せ!響いている幸せを噛みしめながら、「自分も擦弦楽器をやっててよかったな」という気持ちで演奏しています。
植草ひろみさん(以下、植草さん) 私がどうも年上らしいのですが(笑)、鳴尾さんのほうが全然「ゴッド姉ちゃん」という感じでね(笑)。「ついてくよ」みたいな(笑)。鳴尾さんの哀愁を帯びた、心の底から出てくるようなメロディについていく心地よさに醍醐味がありますね。
―ちなみにお二人それぞれが「なるぽん」「ひろみん」と呼び合っているのもいいですね。
鳴尾さん 私は普段周りの方から「まきぽん」と呼ばれているのですが(笑)。
植草さん 私、間違えちゃうんです(笑)。皆さんが「まきぽん」って呼んでいらっしゃると分かっていながら、なぜか私の中では「なるぽん」になっちゃう(笑)。
鳴尾さん 私は中北さんが「ひろみん」って呼ばれているのでつい(笑)。それを許してくれる心の広さが・・・(涙)。
―お二人の親密さが音楽にも表れていてすごくリラックスして聴けました。楽器については西洋と東洋との楽器の響きの違いなどもあると思いますが、合わせる時にどのような工夫をされていますか?
植草さん まず音響面では、多少チェロの方が響きが大きいので、ステージで二人が並んだ時により共鳴する場所を見つけるために、リハーサルの時に少しずつ場所をずらしながら探します。
アレンジについては私が担当しています。鳴尾さんも曲を書かれますし、アレンジもたくさんなさるのですが、「チェロの奏法は奏者じゃないとわからない」と私に任せてくれています。アレンジでは二人の役割が、例えばピアノで言うと右手と左手のように、メロディーと伴奏というふうにならないようにしています。二人のソリストがひとつのサウンドを作り上げることを目指しています。
鳴尾さん それは相手が二胡だと本当はすごく難しいことだと思います。二胡は和音も出ない、音域もバイオリンと比べて狭い、基本的にはメロディーしかできないような楽器なのに、それを感じさせず、チェロがメロディーにまわった時も物足りなくならない、かつ私もそれなりに弾いていて気持ちいい伴奏や裏メロディーを作ってくれるというのは、実はすごく難しいことだと思っています。
―お二人は、昨年1月の阪神・淡路大震災30年メモリアルコンサートでの共演以来、6月の移情閣コンサート、8月の姫路労音会館コンサートと演奏を重ねて来られ、今年3月にはCD『ゆりかご/一番星』を発売、記念コンサートを千葉と神戸で開催されました。演奏を重ねて来られてどのようなことを感じておられますか?
鳴尾さん 曲に慣れてきて、どんどん感情移入できるようになってきました。演奏するのがどんどん楽しくなっています。
植草さん 初めはどんな感じになるだろうと手探りでしたが、今では私たちじゃなければ作れないサウンドが出来てきましたので、いっぱい聴いてもらいたいです。
昨年1月のメモリアルコンサートで初めて共演をさせてもらった時、帰り際になるぽんから「これ中国で買ってきたチェロの楽譜だけど、あげる」と、音源付きのメロディー譜をもらったのですが(珍しくて嬉しかったです)、6月の移情閣では絶対この曲をやろう、とそこからアイデアが色々と湧いてきました。この他にも何かしらの導きがあって次のアイデアが湧いてくる、というような進行を、これまで私たちはしてきました。
鳴尾さん ひろみんはクラシックの演奏家としても物凄いと思うのですが、それ以外の引き出しもすごく多くて。二胡を二胡らしく弾いても、それを面白がってさらに盛り上げてくれるところが一緒に演奏してもすごくやりやすいです。普段クラシックだったら「音外したらあかんのとちゃうか」「こんなえげつないポルタメント(笑)かけたら引かれるんちゃうか」など思うことが、意外にすっと引き取ってくれるというか、一緒にやってくれる感じが嬉しい。
植草さん 知ってる?なるぽんの二胡の最後の音、ビブラートの速度まで見て合わせてるよ。
鳴尾さん あ、そうなんや。私も「チェロのビブラートってこんな感じかな」って合わせるけど、逆にこっちに合わせてくれてるのですね。
一緒に演奏させてもらっているうちに、自分の弾き方がちょっとずつ変わってきているのを感じます。そういった新しい発見をもらえるのも楽しく、いいご縁をいただいたと思っています。
―CD『ゆりかご/一番星』についてお聞きしたいのですが、この企画はいつ湧いたのですか?
植草さん 去年の9月に突然鳴尾さんが東京に来ると分かった時に「今録るしかない」と、急遽レコーディングが決まりました。その前の8月に姫路労音さんでコンサートをさせていただきレパートリーが増えていたこともあり、私達が残したいと思ったのと、中北さんからも残したいとおっしゃってくださったタイミングが合致しました。
ちなみになるぽんが来るって知ったのは一週間ほど前、それもFacebookに書いてあるのを見て(笑)。でも、事が運ぶ時ってそういうものなんだなって思っています。みんなの思いがあっという間に形になる時というのは、何かが背中を押してくれていると感じています。それは今回は中北さんの亡くなられた娘さんの百合さんだったのでしょう。そういうことはこれまでも多かったし、私は割とそういう直感で動きます。
―最後に5/24への抱負を一言ずつお願いします。
鳴尾さん 前回出演させていただいた時は二胡と揚琴で合わせて150本の弦でお届けしましたが、今回は二胡が2本とチェロが4本の合わせて6本。弦の数はすごく少ないですけど、広い会場いっぱいに響かせたいと思います。私達二人の共鳴を皆さんに聴いていただきたいと思います。
植草さん たくさんの人数で演奏することの対極、音の数を減らして減らして、これ以上減らせないという究極の組み合わせを、二人で響かせたいと思います。
神戸・里夢のコンサート終了後に
植草ひろみ(チェロ) プロフィール
東京藝術大学を卒業後、1987年から10年間新日本フィルハーモニー交響楽団に在籍し、その後14年間聖徳大学音楽学部で後進の指導にあたった。
クラシック、タンゴ、自作曲を取り入れたCDと配信アルバムを多数リリース、またフランスやクロアチアでもコンサートを行った。
中村由利子氏とラジオ「今宵もリベロバ」、松野迅氏とラジオ「ピースリー・ミュージック」のパーソナリティを務めた。
ABC/TBSラジオ「Changeの瞬間~がんサバイバーストーリー」では自作曲がオープニング曲として使用されるなど、作曲活動にも力を注いでいる。
鳴尾牧子(二胡) プロフィール
日本二胡界の草分けとして、伝統を踏まえつつ独自の感性で演奏を展開。
06年第1回中国音楽国際コンクールから22年敦煌杯まで国内外のコンクールで優勝。
鳴尾弦楽団主宰。 Xeno Quartet、KIKKA Ensembleリーダー。
音楽クリエーターとして放送BGM等に楽曲を提供。
伝統楽器でありながら現在進行形で発展を続ける現代の二胡を発信、 新時代を拓く実験的な試みを行う。
日本二胡振興会理事。 公益財団法人孫中山記念会理事。
三木労音4・5月例会(第212回)
植草ひろみ&鳴尾牧子 チェロと二胡の調和~東西の弦が織りなす響宴~
2026年5月24日(日)14:00開演
三木市文化会館小ホール
三木労音会員へ入会希望の方は、チラシ裏の入会申込書に会費2か月分(植草ひろみ&鳴尾牧子例会から参加希望の方は4・5月分)と入会金(1,000円)を添えて、三木労音会員か事務局までお申し込み下さい。
ホームページからの入会申込みはこちら→http://www.mikiroon.com/info.html
詳細は三木労音事務局 TEL 0794-82-9775、またはメールinfo@mikiroon.comまでお問い合わせください。





























