今回は吉田さんからいただいたメールインタビューをお楽しみ下さい。
(三木労音・姫路労音合同インタビュー)
Q1 吉田さんがクラリネットを始められたきっかけは?
吉田誠さん(以下敬称略) 中・高校一貫の男子校に通っていて、中学時代はサッカー部に所属していましたが、中学から高校へ進級する春休みに吹奏楽部の友人に勧められて入部しました。両親とも音楽に携わる仕事をしていたので、「なんの楽器が楽しいか?」と聞いたところ、「吹奏楽ではメロディーラインが多いクラリネットが楽しいのでは」と言われました。初めて吹いた時の、なんともいえない木管楽器の音、甘い音色に鳥肌が立ちました。職人のように技を持った、自分にしかできない仕事をしたいと思っていた当時の私は、この楽器で生きていこうと心に決めました。その後2ヶ月ほどで吹奏楽部を辞めて、専門の先生に付きプロを目指しました。
Q2 フランス留学生活で心に残るエピソードなどはありますか?
吉田 パリに着いたばかりの時は、知り合いもおらず、フランス語も話せず、随分と孤独な思いがしました。お金がなくて、毎日卵しか食べられない時もありました。その時は音楽だけが頼りだったと思います。ただひたすら練習のために学校へ行く、そんな日々でしたが、段々と生活にも慣れ、フランス語を話せるようになってくると、フランス文化の豊かさがわかるようになりました。
ある夜、散歩中に通りかかった教会で、その教会の専属オルガニストが自作の曲を演奏していました。誰もいない教会で彼の演奏を聞きながら、長い歴史の中で、かつて様々な作曲家がどんな音を奏でていたのだろうと思いを巡らしたことや、オーランジュリー美術館で、360度壁一杯のモネの睡蓮を見た時、僕の大好きなドビュッシーの音楽が聞こえ、いつの間にか涙がでていた・・・そういった偶然の出会いの数々が心に深く残っています。
Q3 演奏に臨むとき、どんなことを心がけておられますか?
吉田 お客様にとって、想い出に残る時間になるように、幸せな時間だったと感じて貰えるように、どんなときでも自分の持っている力を出しきります。そのためにはやはり、普段からの準備が大切ですが・・・。クラッシックやクラリネットが身近な存在で気軽に聞きたくなる、なんて素敵な楽器だろう、そう感じていただけるような瞬間にできるように、日頃頑張っております。
Q4 音楽家として今後どのようなことに取り組んでいきたいと思われますか?
吉田 クラリネットという楽器の可能性、魅力をたくさんの方々に知って頂きたいです。そのために、色々なアイデアを練り、クラリネットの可能性をもっと広げたいと思っています。クラッシックだけでなく、ジャズやポップスなど、様々なジャンル、舞台に挑戦したいです。
また、クラッシック音楽に限っていうと、作曲家をより深く理解するためにも、クラリネット以外の作品についても勉強したいと思っています。特に、作曲家が最も多くのエネルギーを費やしたであろうオーケストラ作品にはとても興味があるので、現在、指揮の勉強もしています。
Q5 会員のみなさんへメッセージをお願いします。
吉田 まず、今回皆様の前で演奏できる機会をいただけましたこと、心から感謝しております。クラリネットの創りだす世界を楽しんでいただき、クラリネットにはこんな顔があったのか…そう感じていただけるような舞台にしたいです。会場にてお目にかかれることを楽しみにしております。
2011年4月神戸新聞松方ホールでのリサイタルにて
吉田誠(クラリネット) プロフィール
1987年、兵庫県生まれ。5歳よりピアノを、15歳からクラリネットを始める。
2006年、東京藝術大学入学後、渡仏。2008年、リュエル・マルメゾン音楽院を審査員満場一致の最優秀賞ならびにヴィルトゥオーゾ賞を得て高等課程を最短2年で卒業。財団法人ロームミュージックファンデーション奨学生としてパリ国立高等音楽院に首席入学し、ミシェル・アリニョン、パスカル・モラゲス両氏に学ぶ。平成20年度文化庁新進芸術家海外派遣研修員。これまでにクラリネットを浜中浩一、村井祐児、山本正治、松本健司、ロマン・ギュイオ、フローラン・エオーの各氏に師事。10年7月よりロームミュージックファンデーション音楽セミナーを受講、小澤征爾、湯浅勇治の各氏の元で指揮を学ぶ。
2004年、第9回KOBE国際学生音楽コンクール最優秀賞、兵庫県教育委員会賞受賞。2005年、国際クラリネット協会(I.C.A)主催ハイスクールコンペティション第3位。神戸新聞社、神戸文化財団主催第9回松方ホール音楽賞大賞。第19回欧日音楽講座に於いて、ミシェル・アリニョン特別賞を特設され受賞。2006年、トリノ国際音楽コンクール(マルク・フィオリンドクラリネットコンクール)ファイナリスト。2007年、第5回東京音楽コンクール木管部門第1位及び聴衆賞を受賞。2010年、日本管打楽器コンクール第2位。
日本各地でソロ・リサイタルを行うほか、パリで度々リサイタルを開催するなどフランスでも積極的に活動。南仏averoydの音楽祭やフランス国立放送響のサル・プレイエルのコンサートに出演。2010年には、パリの合唱アンサンブル団体アカネのコンサートを指揮。2011年8月まつもと市民芸術館、サイトウ・キネン・フェスティバル松本共同制作ストラヴィンスキー「兵士の物語」に出演。10月には、国文祭「オーケストラの祭典in長岡京」に、指揮者として出演した。
これまでに、大阪フィルハーモニー交響楽団(大植英次指揮)、東京交響楽団(大山平一郎指揮)、東京フィルハーモニー交響楽団(梅田俊明指揮)、日本フィルハーモニー交響楽団(大友直人指揮)、関西フィルハーモニー管弦楽団(藤岡幸夫指揮)、長岡京室内アンサンブル(森悠子監督)など、ソリストとして国内のオーケストラと多数共演を果たしている。
共演/佐野隆哉(ピアノ) プロフィール
東京都立芸術高校、東京芸術大学を経て、同大学院修士課程修了。在学中にアリアドネ・ムジカ賞、卒業時にアカンサス音楽賞、同声会賞を受賞。第73回読売新人演奏会及び同声会新人演奏会に出演。大学院修了時に、ベーゼンドルファー賞を受賞。渡仏後、明治安田生命クオリティオブライフ文化財団より助成を受け、パリ国立高等音楽院第三課程研究科を修了。同音楽院室内楽科を審査員満場一致の最優秀にて修了。
在学中より、第72回日本音楽コンクール・ピアノ部門第2位を始め、園田高弘賞ピアノコンクール、ホセ・ロカ国際ピアノコンクール(スペイン)等国内外のコンクールで入賞を果たす。2009年、第66回ロン=ティボー国際コンクール・ピアノ部門では、第5位入賞ながら聴衆賞及び特別賞を受賞、満員の観客を魅了した。第16回ショパン国際ピアノコンクールにてディプロマを受賞。平成16年度青梅市芸術文化奨励賞受賞。
内外のオーケストラとの共演も多く、これまでにフランス国立管弦楽団(ディディエ・ベネッティ指揮)、パリ国立高等音楽院オーケストラ(クレール・ルヴァシェ指揮)、東京交響楽団(飯森範親指揮)、大阪フィルハーモニー交響楽団(松尾葉子指揮)等と共演。また、パリ日本文化会館主催「Les nouveaux talents japonais de la musique」(新しい若き日本の才能)を始め、多数のリサイタルや演奏会に出演するなど、これまでにフランスを始めとするヨーロッパ各地で演奏活動を行っている。
これまでにピアノを中野万里子、山城浩一、三井美奈子、松本明、坪田昭三、松浦豊明、クリスチャン・イヴァルディ、ジャック・ルヴィエの各氏に、室内楽を山口裕之、北川暁子、渡辺健二、辛島輝冶、ダリア・オヴォラの各氏に師事。
現在、演奏活動の傍ら、東京芸術大学及び国立音楽大学にて、後進の指導にもあたっている。
【三木労音 3・4月例会】
吉田誠クラリネット・リサイタル
4月18日(水)PM7:00開演
三木市文化会館小ホール
入会は三木労音事務局(TEL&FAX0794-82-9775)までどうぞ。
吉田誠クラリネット・リサイタル
4月18日(水)PM7:00開演
三木市文化会館小ホール
入会は三木労音事務局(TEL&FAX0794-82-9775)までどうぞ。
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