2021年7月5日月曜日

【次回例会紹介】アンサンブルの魅力ここにあり!9人が生み出す新感覚吹奏楽サウンド!―シュピール室内合奏団

 次回例会は、ユニークな小編成の吹奏楽グループ「シュピール室内合奏団」をお迎えします。
今回のブログでは、シュピール室内合奏団のメンバー皆さんへのインタビューをご覧下さい。
聞き手 小巻健(三木労音事務局長)



―まずはリーダーの本橋隼人さんに質問です。「シュピール室内合奏団」を結成された動機、またグループ名の由来を教えて下さい。

本橋隼人(もとはし はやと)さん(以下、本橋さん) あくまで『小編成』という認識で「小さな編成なのにこれだけ豊かな響きがする」「音楽は人数ではない」というコンセプトで結成いたしました。そのキーワードとなった曲がアルフレッド・リードの「アルメニアン・ダンス・パート1」です。元々大編成で演奏する吹奏楽曲をたった8人でどう遜色なく演奏できるかという挑戦でもあります。
グループ名の『Spiel』はドイツ語で『遊び』という意味です。各奏者の音遊びも楽しんで頂けたらと思い、この楽団名にしました。

アルメニアン・ダンス・パート1(高橋宏樹:編)

―ユニークな楽器編成の理由を教えて下さい。

本橋さん 中低音楽器に関してはホルン、ユーフォニアム、テューバの方がトロンボーンにも発音が似ているし、実際にこの3人が吹奏楽サウンドを作っていると言っても過言ではありません。高音楽器に関しては大編成の吹奏楽曲を8人で演奏するとなると1人3パートくらい掛け持ちする事になるので、そうなると機動性があり調和性もある楽器を選ぶということになって、トランペットではなくソプラノ・サクソフォンを入れることにしました。そしてピアノも加えてより色彩感豊かな現在の編成になりました。

―吹奏楽の既存曲をシュピールの編成で演奏するために行われたアレンジの工夫について、メンバーである作編曲家の高橋宏樹さんにお尋ねします。

高橋宏樹(たかはし ひろき)さん 吹奏楽の曲は30~50人くらいで演奏されるものが多いのですが、これを8人(または9人)で演奏するわけですから、何を削っていくかを考える必要があります。削ったうえで元の曲となるべく印象が変わらないサウンドづくりを目指しています。かと言ってまったく同じ感じですとシュピールの編成でやる必要がなくなりますから、シュピールの持つ色彩感も生かしつつというところです。
シュピールの編成は木管群、サックス群、金管群と吹奏楽と同じように振り分けられていますが、大きく違うのは「直管系」と呼ばれるトランペット、トロンボーンがないところです。これらの楽器の鋭い音色を、他の楽器を組み合わせて作ったり、打楽器の印象的な部分をいかに違和感のないようにサウンド作りをしたりするかも大きなポイントです。そのサウンド作りの上で欠かせないのがピアノです。このピアノがあるというところと直管系がないというところがシュピール室内合奏団のアイデンティティの一つになっていると思っています。

―それではメンバーお一人お一人に、①ご自分の担当する楽器の愛すべき所、また②シュピール室内合奏団の「ここがイチオシ」という点について教えて下さい。

椿 義治(つばき よしはる)さん(担当楽器:アルト・サクソフォン)
①まず見た目のカッコ良さ、そしてやはり音色です。サクソフォンは、あらゆるアコースティック楽器の中で最も音色の幅が広いのではないかと思います。表現の幅が広く、変幻自在、沢山の可能性を秘めた楽器です。
②シュピール編成ならではのサウンドも大きな魅力ですが、イチオシはメンバーです。個性豊かなメンバーに皆さんもきっと虜になりますよ!

大岡三佐子(おおおか みさこ)さん(担当楽器:フルート)
①唇を振動させて音を出す金管楽器とも、リードを振動させて音を出す他の木管楽器とも違う、独特の発音の仕組みによるフルートの音色がとても好きです。コンパクトで持ち運びがしやすいところも気に入っています!(笑)
②他にはない特別な編成による多彩な音色が魅力だと思います。メンバーの個性と、人柄がにじみ出る響き。大編成の曲から室内楽的な曲、オリジナルの曲、どんな曲にも「シュピールらしさ」を感じていただけると思いますので、楽しんでいただけたら光栄です!

國末貞仁(くにすえ さだひと)さん(担当楽器:ソプラノ・サクソフォン)
①サクソフォンの愛すべきところはなんと言っても見た目のカッコ良さ!そして、様々なジャンルに対応できる幅広い表現力が魅力です。たくさんのキィーが付いていて複雑な構造に見えるけど、実はリコーダーに運指が近く、演奏のしやすさは管楽器の中でもダントツです!とってもコスパのいい楽器です(笑)
②シュピールのメンバーはとにかくみんな「できた人」。相手を思いやり尊重することのできる人たちばかり。それが演奏の端々に表れていると思います。そんなシュピールの仲の良さが聴いて下さる皆さんに伝われば嬉しいです!

安東京平(あんどう きょうへい)さん(担当楽器:ユーフォニアム)
①音、形、抱き心地!音は柔らかく包容力のある音から繊細な音まで、そして力強い表現もできるところに魅力を感じます。
②この編成で演奏しているとは思えないサウンド。メンバーはそれぞれ個性があるのですが、お互いをリスペクトし合っているからこそのブレンドしたサウンドが魅力かと思います!

新居由佳梨(あらい ゆかり)さん(担当楽器:ピアノ)
①ピアノの愛すべきところは、キラキラした音はもちろんの事、一人で何でもこなせるところです。低い音から高い音までの幅広い音域、メロディーを弾きながら伴奏も弾けたり、一度に沢山の音を響かせて一人オーケストラだって出来ます。まさに楽器の王様です!
②9人とは思えない豊かな響きは、他に類を見ないシュピールの魅力です。吹奏楽曲を筆頭に、アニメやジャズ、時には懐メロと幅広いレパートリーを持っているので、全世代に喜んで頂ける音楽をお届けできるのではと思います!

山口祐貴子(やまぐち ゆきこ)さん(担当楽器:ホルン)
①まるでカタツムリのような形でぐるぐると巻かれた管、構えると後ろを向くベル。その可愛らしいフォルムとは裏腹に、まぁなんて難しい楽器!だけど温かく優しい、ときに力強い音色がとても魅力的で、虜になるともう離れられません。いろんな楽器と仲良くなれます!
②他にない編成と個性豊かなメンバー。優しい気持ちでお互いを想い合えるところや、何より音楽を楽しむ気持ち、この人数で最大限に表現し、お客様に歓びを伝えたいという、あたたかい想いの強いバンドだと思います!

本橋隼人さん(担当楽器:テューバ)
①重いし低いしメロディーないし、地味な楽器?…とんでもない!!実は一番バンドの主導権を握っている楽器なんですよ。いうたら影の支配者 (笑) 低音が心地よいとバンドも心地よい。そんな素敵な楽器です。
※②は冒頭を参照下さい。

倉 愛花理(くら あかり)さん(担当楽器:クラリネット)
①クラリネットの愛すべき所は音色です。低音の木の温もりが感じられる温かな音色と、高音のキラキラとした明るい音色を持ち合わせており、4オクターブ弱という幅広い音域で、クラシックや童謡だけではなく、ジャズやディキシーなど色々なジャンルで活躍します。見た目は地味ですが、吹奏楽でもメロディー、伴奏、ハーモニーとなんでもこなす花形的存在です♪
②メンバーそれぞれ個性豊かな所や、それぞれの得意な部分が生かされており、役割をもって活動できているチームだなぁと思いますし、大編成の曲を小編成で演奏する団体は多くなってきましたが、シュピールがその先駆けになっていればと密かに思っています。
※倉さんは正規メンバーですが、今回は都合により篠塚恵子さんが代わりに出演されます。

―今回演奏していただくプログラム、またステージの特徴を、リーダーの本橋さんにお尋ねします。

本橋さん レパートリーが100曲以上あるので、本格的なクラシック曲からポップス曲など幅広いジャンルを演奏しております。今回は前半にはシュピールの豊かなサウンドをお届けしたく、クラシック曲をメインにお届けいたします。後半は打楽器も入り皆様と楽しく一体感があるステージになればと思い、歌謡曲やジャズの曲を選びました。そしてシュピールの特徴としてはソロを入れております。今回はユーフォニアムとテューバがメインで、よりその楽器の魅力がお届けできればいいなと思います。各メンバーがMCもいたしますので、メンバーそれぞれの雰囲気も楽しんでいただければと思います。

―最後に、グループの今後の活動についての抱負を、リーダーの本橋さんよりお願いします。

本橋さん 少子化やパンデミックなど様々な事が起こっていて、小編成になる時代が確実に近づいています。その時代の中、このような編成がより一般的になって、その時に『シュピールという室内合奏団がある』という位置づけでいたいです。
後はなかなか演奏ができない現状からコンサートが普通にできるようになったら、是非私たちの生演奏を聴いて欲しいです。この楽器編成による音の立体感など、私たちがやりたい事が一番伝わると思います。
最初にも言いましたが「音楽は人数ではない」という事を掲げて全国にいる吹奏楽部の子達やまだまだシュピールを聞いたことのない方達に届けていきたいなと思っております。



シュピール室内合奏団 プロフィール
「小編成吹奏楽」シュピール室内合奏団
テューバ奏者 本橋隼人 と作編曲家 高橋宏樹 を中心に吹奏楽の名曲をよりたくさんの人に伝えたい思いからフルート、クラリネット、二本のサクソフォン、ホルン、ユーフォニアム、テューバ、ピアノ、打楽器といった最大9人編成の今までにありそうでない新しいスタイルで2010年に結成。
2011年財団法人ヤマハ音楽振興会主催ヤマハ音楽支援制度の対象者に選ばれ音楽支援コンサートに出演し「小編成吹奏楽」の新しいサウンドを披露し好評を博す。音楽雑誌にも活動が多数掲載される。
主催公演では2012年より、メンバーが企画・演出を凝らし力を注いでいる公演を春夏秋冬に合わせて年4回行なっており、ユーフォ二アム奏者スティーヴン・ミード氏、トランぺット奏者エリック・ミヤシロ氏など、国内外の著名なアーティスト達とも共演をしている。
自主公演のほか、被災地の吹奏楽部を訪ね、クリニックやミニコンサート・合同コンサートを行うなど小中学生を対象にした学校依頼公演や0歳から入場できる親子コンサート、メンバーによる室内楽公演などホール自主事業依頼公演など多彩な公演を行っている。
2017年ファーストアルバム「Spiel Star Spur!」発売。ナクソス・ミュージック・ライブラリー他で販売・配信中。
音色を大切にした明快なアンサンブルで様々なジャンルをこなす。演奏会でお客様との一体感を大切にするバンド。
吹奏楽専門誌「バンドジャーナル」2020年11月号の表紙を飾る。
YouTubeなどSNSにて毎週土曜日に元気と笑顔でメンバーによるリレーメッセージ配信中。

シュピール室内合奏団youtubeチャンネル https://www.youtube.com/user/spielkammerensemble

大岡 三佐子 (おおおか みさこ/フルート)
神奈川県出身。
洗足学園音楽大学を優秀賞を得て卒業。第14回日本フルートコン ベンションコンクール・ピッコロ部門第2位。第15回大阪国際音楽コンクール・デュオ部門入選。2010年大韓民国文化庁主催吹奏楽フェスティバル参加。これまでに菅原潤、真鍋恵子の各氏に師事。
現在ソロ、室内楽などでの演奏の他、在京プロオーケストラでのエキストラ出演、中学や高校での吹奏楽部、オーケストラ部で後進の指導にもあたる。横浜市民広間音楽会会員。シュピール室内合奏団フルート奏者。

倉 愛花理 (くら あかり/クラリネット)
鹿児島県出身。
東京音楽大学を卒業。尚美ミュージックカレッジ専門学校コンセルヴァトアールディプロマ科修了。第29回鹿児島県高等学校音楽コンクール木管楽器部門金賞。これまでにクラリネットを藤井一男、三界秀実、チャールズ・ナイディック、大島文子の各氏に師事。現在、「シュピール室内合奏団」や、クラリネットアンサンブル「Lampi」の他、室内楽、吹奏楽、オーケストラスタジオ録音等、演奏家として幅広く活動をする傍ら、個人やグループの指導も行なっている。
 
國末 貞仁 (くにすえ さだひと/サクソフォーン)
香川県高松市出身。
東京藝術大学を経て、同大学院修士課程修了。
2005年、第22回日本管打楽器コンクールサクソフォン部門第3位入賞。
2006年、第3回ブルーポラリス賞優秀個人賞受賞。
2010年、平成21年度香川県文化芸術新人賞受賞。
2017年に結成10周年を迎えるサクソフォン四重奏団Quatuor Bをはじめ様々なグループの
メンバーとしての活動のほか、サキソフォックスのラトゥールくんのお友達プレイヤーとしても全国各地で活躍中。現在、京都市立芸術大学非常勤講師、洗足学園音楽大学非常勤講師 を務めている。また、2013年より高松市観光大使に就任し、故郷のPRにも力を注いでいる。

椿 義治(つばき よしはる/サクソフォーン)
神奈川県横浜市出身。
横浜市立戸塚高等学校、エリザベト音楽大学を経て、同大学院修士課程修了。卒業演奏会、日本サクソフォン協会「新人演奏会」 他多数出演。サクソフォンを宮田麻美、宗貞啓二の各氏に師事。現在、フリー奏者としてソロ、室内楽を中心に演奏活動を行う傍ら、後進の指導にあたる。シュピール室内合奏団、サックス&ギターデュオ「Travessia」各メンバー。横浜市立戸塚高等学校音楽コース非常勤講師。

山口祐貴子 (やまぐち ゆきこ/ホルン)
佐賀県出身。
佐賀北高等学校芸術コース音楽科を経て、国立音楽大学演奏学科を卒業。在学中、学内
オーディション合格者によるソロ・室内楽定期演奏会に金管五重奏、木管六重奏で出演。
これまでにホルンを山口隆文、大野良雄、西條貴人、日高剛の各氏に師事。アレッシオ・アレグリーニ氏のマスタークラスを受講。現在、フリーランスのホルン奏者として室内楽、吹奏楽、オーケス トラ等での演奏活動や、小中高生への指導も行っている。シュピー ル室内合奏団、Tokyo Brass Collective、ハーツウインズ、ブラスアンサンブルVALLISEのメンバー。

安東 京平 (あんどう きょうへい/ユーフォニアム)
北海道芦別市出身。
国立音楽大学を矢田部賞を受賞し卒業。アラバマ大学大学院修士課程修了。第24回日本
管打楽器コンクール、第25回ファルコーニコンペティション第1位。Boreas Quartet、ファンカル、Trio DOSanko、シュピール室内合奏団各メンバー。国立音楽大学非常勤講師、桜美林大学非常勤講師、札幌大谷大学非常勤講師、東北学院大学シンフォニックウィンドアンサンブル常任指揮者。

本橋 隼人 (もとはし はやと/テューバ) 
東京都出身。シュピール室内合奏団主宰。
学園音楽大学を優秀賞受賞し卒業。卒業演奏会出演。東京ミュージック&メディアアーツ尚美(現尚美 ミュージックカレッジ専門学校)コンセルヴァトアールディプロマ科修了。同校ソリスト選抜フレッシュコンサート出演。第13回浜松国際管楽器アカデミーに参加。講師推薦プレミアムコンサートに出演。
現在、大手テーマパークバンドに所属し、レギュラーショー、イベントに出演中。
テューバを稲川榮一、池田幸広の両氏に師事。TUBA DUO TITANS、金管合奏団八珍各メンバー。

新居 由佳梨 (あらい ゆかり/ピアノ) 
大阪府出身
東京藝術大学、同大学大学院、スイス国立ジュネーヴ音楽院修了。第7回イタリア・モノポリ国際ピアノコンクール第3位ほか受賞多数。シャネル(株)Pygmalion Daysシリ-ズ、ラフォルジュルネ・オ・ジャポンをはじめ全国各地で演奏活動中。CDは「メランコリー」「透明な風~ ラヴェル名曲集」。
伝説のバイオリニスト、イダ・ヘンデルとの録音や国内外の著名器楽奏者との共演も多い。TVドラマやゲーム音楽のレコーディングやコンサートにも出演。スタインウェイ・アーティスト。

高橋 宏樹(たかはし ひろき/作編曲家・芸術監督)
東京都出身
専門学校にて映像音楽やポップス理論などを学ぶ。主に吹奏楽曲や管楽アンサンブルの作編曲をしている。ポップスの編成やオーケストラの編曲なども手がけている。ピアノやキーボードのサポート鍵盤ハーモニカなどプレイヤーとしても活動している。
シュピール室内合奏団メンバー。ズーラシアンブラス契約作編曲家。21世紀の吹奏楽「響宴」会員。
主な作品に行進曲「勇気のトビラ」「オーディナリー・マーチ」「文明開化の鐘」などがある。

篠塚 恵子(しのづか けいこ/クラリネット)※倉 愛花理さんの代役で出演いただきます。
神奈川県海老名市出身。東京音楽大学を卒業。同大学在学中に特待生奨学金を得る。同大学オーケストラ欧州ツアー2009に参加。クラリネットを内山洋、黒尾文恵の各氏に師事。第1回日本芸術センター室内楽コンクール最高位銀賞、第9回日本アンサンブルコンクール優秀賞および全音楽譜出版社賞受賞(木管五重奏団「Borders」)。第9回ルーマニア国際音楽コンクール室内楽部門第1位受賞(「朝やけゼクテット」(木管五重奏とピアノ))。2013年、光州国際音楽祭(韓国)にオーケストラメンバーとして参加。2019年ソロリサイタルを開催。
現在、フリーランスのクラリネット奏者としてオーケストラを中心にソロや室内楽などで活動する他、各地で後進の指導にもあたっている。また、映画やCM、ゲーム等のサウンドトラックにも多数参加。クラリネットアンサンブル「Lampi」より1stアルバム「Bestie」を発売。


三木労音第184回例会
シュピール室内合奏団
2021年8月7日(土)16:00開演
三木市文化会館小ホール
三木労音会員へ入会希望の方は、チラシ裏の入会申込書に会費2か月分(シュピール室内合奏団例会から参加希望の方は8・9月分)と入会金(1,000円)を添えて、三木労音会員か事務局までお申し込み下さい。
ホームページからのお申込みはこちら→http://www.mikiroon.com/info.html
詳細は三木労音事務局 TEL 0794-82-9775、またはメールinfo@mikiroon.comまでお問い合わせください。

0 件のコメント:

コメントを投稿