今回のブログ記事では、神田将さんのインタビューをご紹介します。
聞き手 小巻健(三木労音事務局長)
神田将さん(エレクトーン奏者)
―前回から約3年弱の年月が経ちましたが、この数年で神田さんもさらに様々な方面でご活躍をなさったとお聞きしています。その中から思い出に残るエピソードをいくつかご紹介いただけますでしょうか。
神田将さん(以下神田さん) 再び三木労音の例会にお招きいただき、ありがとうございます。あれからもう三年近い年月が流れたのですね。まるで昨日のことのようです。当時は、まだ労音とのお付き合いが始まったばかりでしたので、皆さまに喜んでいただくにはどうしたらいいか、確固たる自信が持てないままに舞台に立っていた気がします。その後、労音での演奏機会は全国に広がり始め、行く先々で熱狂的に迎えていただいており、すべてが大切な思い出ですが、特にというものを挙げるとすれば、加古川労音での第九と、それに続く韓国での第九です。いつもはひとりで全力を尽くす舞台が多いのですが、第九は一般市民も含め、多くの人が力を寄せ合って成功させる舞台です。それぞれがいろいろな思いを持って取り組んでいて、プロだけの世界とはまったく違う達成感や共有感がありました。音楽のすばらしさを理屈抜きで経験できたのは最高の思い出です。
―音楽観や演奏などについて、ここ数年で変化されたこと、またこれから目指していかれることなどお聞かせいただけますか。
神田さん すべての芸術家は常に浮き沈みとの闘いです。それは人からの評価というより、むしろ自分自身とどう対峙し、それまでの自分をどう超えていくかというものですが、どんなに挑んでも、まったく成果の出ない時期があります。私の場合、たいてい10年に一度、大きな波がやってきますが、それがまさにここ数年のことでした。その波が去ると、突然視界が開け、まっすぐに道が伸びているのが見えてきます。滞っていた計画や人間関係がにわかに動きだし、まるでこうなることがあらかじめ決められていたのかと思うほど、なるようになっていくから不思議です。
今まではよりよい音楽を奏でるための素材集めと精神修行に没頭してきましたが、霧が晴れた今、そろそろ培ったものをきちんと咲かせていきたい、腰を据えてより丁寧で深みのある演奏をしていきたいと思うようになりました。私ももう50才。年代もののシングルモルトのように、よどみのない色と、ゆたかな香りを醸したいもの。今こそ、人生で最高の演奏をする時なんだと思います。
―今回のプログラムについて、神田さんの思いをお聞かせください。
神田さん 今回のプログラムは、三木の皆さまのためのスペシャル版です。他では弾かないものが多く並んでいて、自分自身、とても興味深く感じています。
前問にあった数年の変化を実感していただくには、前回と同じ作品を演奏するのも面白いかもしれませんが、今回は思い切って幅を広げてみました。前半は、新年の華やぎを皆さまと共有できるよう、映画ありジャズありの盛沢山。これらには若々しくエネルギーに溢れた演奏が欠かせませんので、今から心身をリフレッシュしていきたいと思います。後半は、2015年1月に東京労音主催で実現した東京文化会館でのリサイタルと同等の曲目を演奏します。あれから二年、このプログラムは世界中で演奏してきました。
クラシックきっての名曲を、ひとりで演奏するからこそ実現できる切り口でお届けします。どうぞご期待ください。
―最後に再び会員の皆さんへメッセージをお願いします。
神田さん 三木労音の皆さまの取り組みは、いつも風のうわさに聞いています。この夏には沢田研二さんの例会を成功させたと聞き、そのパワーに圧倒されました。本当に素晴らしいと思います。そして、再度私にもチャンスを下さる心意気がまた素晴らしい!魅力的な音楽家は星の数ほどいるのに、また呼んでくださったのですから、私もそれによい演奏でお応えします。
1月の例会は寒い日でしょうけれど、終演後にはホットな気分でお帰りいただきたいと思います。それでは1月にお会いしましょう!
たった1台のエレクトーンでフルオーケストラに迫るサウンドを奏で、電子楽器の常識を覆したエレクトーン奏者。特にクラシック作品の演奏を得意とし、独自の技術と高い音楽性が絶賛されている。
2009年より仙台クラシックフェスティバルに8年連続出演。2013年、2014年には霧島国際音楽祭に出演。また、中国上海国際芸術祭への出演を機に、海外音楽祭への参加やリサイタルも増え、日本生まれの楽器であるエレクトーンを演奏する日本人音楽家として各国で人気を博している。国内では、ソロコンサートや一流アーティストとのアンサンブルの他、第九演奏会やオペラ上演でのオーケストラ担当、全国の小中学校への訪問コンサートなども積極的におこない、エレクトーンの可能性を広げるための努力を重ねている。2014年に演奏家活動20周年を迎え、2015年1月には労音主催による20周年リサイタル(東京文化会館)を成功させた。2015年、2016年加古川労音第九演奏会、2016年韓国昌原市第九演奏会、その他、労音コンサートにも多数出演。
2017年3月11日には、50才を記念したリサイタル(東京文化会館)が予定されている。
神田将ホームページ http://www.yksonic.com
三木労音第156回例会
神田将 YUKI KANDA エレクトーンリサイタル
2017年1月22日(日)14:00開演(13:30開場)
三木市文化会館小ホール
入会希望の方は、チラシ裏の入会申込書に会費2か月分(神田将例会から参加希望の方は12・1月分)と入会金(1,000円)を添えて、三木労音会員か事務局までお申し込み下さい。
ホームページからのお申込みはこちら→http://www.mikiroon.com/info.html
詳細は三木労音事務局 TEL 0794-82-9775、またはメールinfo@mikiroon.comまでお問い合わせください。
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