2013年11月5日火曜日

【次回例会紹介】チェリスト林裕さんインタビュー!!

次回例会は、日本屈指のチェロ奏者・林裕(はやし ゆたか)さんの登場です。
今回は、林裕さんの魅力をお伝えするためにご本人にメールでインタビューさせていただきました。どうぞお楽しみ下さい!
(聞き手・三木労音事務局長 小巻健)





Q1 林さんとチェロの出会いを教えて下さい。

林裕さん(以下、林さん) 父がチェリストなので(林良一氏)、生まれる前からチェロの音を聴いて育ちました。チェリストになる決心をしたのは、中学3年の時にロストロポーヴィチの演奏するドヴォルジャークのチェロコンチェルトを聴いてからです。

Q2 林さんが感じるチェロの魅力は、どういったところですか?

林さん ふくよかな響きが会場いっぱいに広がるところですね。人の耳には優しく聴こえるチェロですが、クリアに音を発音する事やタップリとした音量を出しにくい楽器なので、演奏家には労働の様に本気で楽器と向き合う事が必要だったり、気候に影響されやすく、どれだけ練習しても裏切られるなど、苦労の多い所もですかね(笑)

Q3 林さんはここ数年「Cellist=Composer・Collection」と銘打った過去のチェロ奏者兼作曲家の作品の発掘に精力的に取り組んでおられますが、どのような思いでなさっておられるのでしょうか?

林さん 恩師である三木敬之先生が、東京芸術大学を退官される時に、先生の所有されていた楽譜を学生に配りました。僕の所には練習曲に混じって、50部だけ印刷されたと言う貴重なカサドの作品が含まれていました。それまでは次に演奏するのは一般的で聴き覚えのある曲から選んでいましたが、辞典や解説に載っているのは有名な曲のみで、探せば知られていない曲が存在するという事が衝撃的でした。
それからは、チェリストが書いた楽譜の収集に力を注ぎ、ご提供頂いた物、探して頂いた曲、留学中の後輩や弟子が送ってくれた作品、色々な方のご協力と共に、今のペースでは一生かかっても演奏しきれない程の楽譜が集まりました。今ならまだ程よく探し出す事ができる、この貴重な文化遺産を皆様と共有出来れば嬉しいです。

Q4 今回サブタイトルが「OPA!POPPER」ということですが、林さんからあらためてポッパーというチェロ奏者兼作曲家の魅力、そして今回のプログラムについて教えて下さい。

林さん チェリストの作品は、楽器の事が良く解って書いてあり、作曲家が悩み抜いて生み出した曲と違って、素直で歌心にあふれた聴きやすい物であったり、技巧的に理にかなって華やかであったりするのが魅力です。
その中でも今年没後100年を迎えたポッパーの作曲能力は頂点に輝き、技巧的にも、歌心としてもバランスのとれた作品で有名です。しかし、現在演奏されている曲は彼の作品の10%以下なのです。
集めて解った事ですが、ポッパーの技巧的なイメージからは想像出来ないゆったりとしたメロディなど作風はバラエティに富んでいます。また、当時はチェロのコンサートでポッパーの作品が入らない物はなく、人気があり過ぎたひがみからか、批評家から【避け難いポッパー】とまで言われていました。

Q5 オフのときはどのように過ごされていますか?

林さん なかなかオフがないのが大問題ですね。今年の空き時間は、今まで録りためた録音の編集作業にあてたいと思います。海辺でのんびり過ごすのが夢ですね。

Q6 最後に三木労音の会員の皆さんへメッセージをお願いします。

林さん 今年は100年に一度の祭典です!飲み屋で笑いの中心にいた事でパーティーの盛り上げ役にスカウトされた事もあるポッパーの、ユーモアあ ふれる作品を是非お楽しみください!!



プロフィール

林裕 チェロ
東京芸術大学を卒業。日本音楽コンクール第一位、黒柳賞を受賞。アフィニス文化財団、ローム音楽財団の奨学生として、フライブルク音楽大学院を首席修了。
青山音楽賞、松方ホール音楽賞大賞や、主催する「Cellist=Composer・Collection」に対して、大阪文化祭賞グランプリ、音楽クリティッククラブ賞本賞、文化庁芸術祭新人賞等を受賞。兵庫県芸術文化センターシリーズの年間支持率No.1になった。
CD「SOLO ist」にシュタルケルが賛辞を寄せた他、レコード芸術の特選盤になった。元大フィル首席奏者。いずみシンフォニエッタ大阪のメンバー。2012年泉の森コンクール審査員。2013年8月7日にはポッパーチェロコンクールを開催する。相愛大学准教授。
林 裕 HP http://www.yutaka-hayashi.vc/

稲垣聡 ピアノ
滋賀県立石山高等学校音楽科を経て桐朋学園大学卒業、フランス国立リヨン高等音楽院大学院修了。1991年東京現代音楽祭室内楽コンクール《競楽Ⅰ》入賞。1992年第4回宝塚ベガ音楽コンクールピアノ部門第1位・特別賞、2003年滋賀県文化奨励賞受賞。
国内各地でのリサイタル等ソロ活動をはじめ、内外のアーティストとの共演やレコーディングなどアンサンブルピアニストとしても活躍している。現代音楽の分野においても数多くの作品を手掛けISCM (国際現代音楽協会)世界音楽の日々、アジア音楽祭、〈東京の夏〉音楽祭、サントリー・サマーフェスティバル等に出演のほか、海外でもハンガリー、韓国、台湾、パリ、ベルギー、アメリカ、メキシコ等に招かれ内外より高い評価を得る。またソリストとしてこれまで東京交響楽団、東京フィル、新日本フィル等と共演している。
現在アンサンブル・ノマドのメンバー、相愛大学音楽学部准教授。



三木労音11・12月例会
林裕チェロリサイタル OPA!POPPER
2013年11月18日(月)19:00開演 三木市文化会館小ホール

新入会員大募集中!お申し込みは三木労音TEL0794-82-9775、もしくはホームページhttp://www.mikiroon.comからも入会できます。

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