2023年11月29日水曜日

【次回例会紹介】みんなの “一生懸命”が響き合う、ライブの楽しさ伝える最強バンド! ― ワタナベフラワー(ロックバンド)

次回例会は、神戸を拠点に活躍中のワクワクロックンロールバンド・ワタナベフラワーにご出演いただきます。
今回のブログ記事では、バンドの中心人物、ボーカルのクマガイタツロウさんのインタビューを中心にご紹介します。
聞き手 小巻健(三木労音事務局長)
2023年11月20日神戸某所にて取材

ワタナベフラワー(中央がクマガイタツロウさん)



―まずはバンドの始まりから教えて下さい。

クマガイタツロウさん(以下、クマガイさん) 僕は元々バンドをやりたくて家を追い出された、いわゆる「勘当」というやつですよ。で、いろんなバンドでギターを弾いていたんですけど、自分が作る歌を自分で歌うバンドをやりたいと思って作ったのがこのバンドです。2001年からですが、最初のメンバーはもういないです。バンド名は、当初メンバーの一人が「ザ・パフパフ」という名前を言いだして、最初は僕もそれで一生やるわけじゃないし何でもいいんちゃう、と思ってたんですけど、よく考えてみると僕がボーカルで「こんばんは、『ザ・パフパフ』です」って言いたくないなと思って(笑)。そうしていたら練習帰りの車の中から「ワタナベフラワー」っていうお花屋さんが見えて、そこから取りました。当時カタカナで意味のないバンド名がよかったので、それだけで決めたんですけど、ここまで来るとは思わなかった。でも最初から小さい子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで楽しめるようなロックがいいなと思っていました。まあ最初のうちはそんなに強く意識してたわけではなかったんですけどね。

―他のメンバーが加入したのは?

クマガイさん もう何年になるのかな。ムサさんの参加は翌年ぐらいからだったんじゃないかな。イクちゃんも15年ぐらいやってるかな。元々うちのバンド全員、イクちゃんもムサさんもそれぞれ自分のバンドを持っていたんですよ。だから全員作曲も出来る。今はイクちゃんと僕とで半々ぐらいかな。でも誰が作ったにしても、僕が歌ったらどんな曲もワタナベフラワーの音になることを目指しているんで、そこはあんまり誰が作ってとかのこだわりはないですね。

―現在ワタナベフラワーは、バンドとして初の神戸市との公民連携を結び、様々なテーマソングや地域応援歌を歌われていますが、地元に密着した活動をはじめられたきっかけを教えて下さい。

クマガイさん 元々僕は西宮の生まれ育ちなんですよ。でもライブハウスが西宮にあんまり無くて、で、神戸か大阪か、いろいろやっていく中で神戸の方が落ち着いていていいなって思って、その後神戸を中心にやっていました。その後に大阪、東京と、活動拠点もいろいろ変わってきたんですけど、今のスタイルになったきっかけは、神戸市灘区の水道筋商店街での出来事です。元々僕は「商店街のヒーロー」になりたいっていう夢があったので、水道筋商店街の組合に自分たちで企画を持ち込んで、毎月1回商店街のアーケードの中でのライブを10カ月連続でやったことがあったんですよ。でも最初、めちゃくちゃ反対された人がいて、コーヒー屋のおっちゃんやったんですけど。そのおっちゃんに「お前誰や」「どこのもんやねん」みたいな、そら僕ら水道筋に住んでなかったし、「なんで商店街の予算でお前らのライブやらなあかんねん」みたいな感じで。でも僕はライブ観てもらったら分かるんでって言ってやり続けたんですよ。で、10カ月後の最終日に、おっちゃんが僕のとこ来て「もう終わりなんか」って。僕が「これで終わりです。お世話になりました。水道筋好きになりました。」って言ったら、コーヒーチケット持ってきてくれて、「これ、あげるわ。」って。「いや、買います、普通に飲みに行きます。」って言ったら「あんたに飲んでほしいねん」って言われて。めっちゃグっと来るでしょ。あと最後のライブの時に水道筋の法被を着させてもらったんですね。それって「その町の子」として認められたってことじゃないですか。普通よそ者は着れないんでね。それが大きいきっかけやったんかなって思いますね。「クマちゃんも水道筋の子やから」って言ってもらって、それが嬉しくて、神戸のことをよりやりたいと思ったきっかけでしたね。
さらに遡ると、実は僕、小学校5年の時に、突然母親が駆け落ちで家を出ていったんですよ。親父は長距離トラックの運転手で、3日に1回しか帰ってこない。弟と二人で自分らでご飯作ったり、洗濯、掃除したりせなあかん生活になったんです。その時に近所のおじちゃんおばちゃんが「ご飯食べていき」って言うてくれたり、市場や商店街のおっちゃんが「おかえり」って言ってくれたり、そういうことがあったので、商店街や市場には思い入れがあるんです。
それから、水道筋商店街でライブをしている中で「摩耶山で音楽フェスやってよ」という声をいただくことがありまして。ちょうど水道筋商店街の上が摩耶山で、フェスやるんやったらここやなと、みんなに喜んでもらいたいし、水道筋も通って見てほしいと思ったのもあったので、「神戸ストラット(※堂々と歩くの意)」というフェスをそこから始めました(2015年開催)。このフェスでは東北の震災孤児や被災した子供たちに、震災から20年経ったら神戸はこんなに明るくなったよ、というのを背中で見せたいっていう思いから始まったんです。
その後、摩耶山で毎年やってよって言う声もあったんですけど、僕は神戸市9区あって、まだまだ知らんところ、ええとこがあるんちゃうか、それを見せていくフェスにしようと思って、毎年区を変えてやってきたんです。コロナ禍で止まってしまったんですけど。

―神戸市の各区に実際に住んでみられたそうですね。

クマガイさん 2020年の緊急事態宣言でどこにも行けない時に、自分が何ができるかって思ったんですよ。以前から僕は「神戸で一番の男になりたい」ってずっと思っていて、何が一番か、それは「一番盛り上げている奴」、そのためにはやっぱり神戸のことを一番知らなあかんと。どうしたらいいか、と考えて思い至ったのが「住む」。ライブできない、イベントもない、「今や」って思って実行しました。住んでみて、お店とか場所とかいいとこを発見して、それを配信して知ってもらおうとyoutubeで配信したんです。お店とか場所とかはイベントと違って一気に人が集まるんじゃなくてちょっとずつみんなに行ってもらうじゃないですか。それやろうと思って、で1年かけて9区全てに住んでみました。
心に残る出会いがそれぞれ9区全部にありましたね。そういう経験を通じて、自分の中で神戸に対しての愛情も深くなっていったって思うんです。

―今年は史上初の神戸まつり応援隊長を務められましたね。

クマガイさん 9区住み終わった時点で、神戸市に言いに行ったんですよ。「神戸まつりの本祭の前日の土曜日にある、9区それぞれのお祭りの全てで歌わしてくれ、ギャラ無しでいいんで。」って。毎年言い続けて、ようやく今年それが叶いましたね。
 なんか自分に説得力が欲しかったんです。「神戸のバンド」というからには、ちゃんと神戸のええとこを発信できるバンドでいたいなという気構えがあったんやと思いますね。

―『一生懸命はやめられない』というライブでは毎回歌われている素敵な曲がありますが、それについて教えていただけますか。

クマガイさん 2014年に「森脇伝説」というテレビ番組のテーマソングとして作ったんですけど、森脇健児さんから電話かかってきて、「ウルフルズの『ガッツだぜ!!』って曲あるやろ、あれのもっとええやつ書いて」って言われて(笑)。森脇さんはコツコツとやってはる方なんで、森脇さんをイメージしながらも、僕らは「応援ソング」みたいなのがなかったので、「頑張れって言わずに応援できるような歌」ということをテーマにして作りました。
 さっきも言ったように、自分が小学校の時に自分らで頑張らなあかん状況になって、僕はいろんなおっちゃん、おばちゃん、商店街の人、ご近所さんにすごいお世話になって生きてきました。バンド活動も一生懸命やってきて、振り返ったらもう22年。時には「NHKみんなのうた」をやらしてもらったり、テレビ、ラジオなど、いろんなメディアで世に出るタイミングがありましたが、そんな時、昔、西宮でご飯食べさせてくれてたおばちゃんとかに、地元に帰った時に声をかけられるんですよ。「クマくん見たでー」「出とったな」とか。水道筋商店街の人達もみんな声かけてくれたりして、そういう時、一生懸命やってたらこんな風に周りの人が喜んでくれるタイミングがあるんやな、と気づいたんです。もちろんライブは目の前の人に喜んでもらうためにやるし、それもいいんですけど、それ以外の所にも届く瞬間は、自分が一生懸命やってきたからこういう瞬間があるんやろうな、だからまた恩返ししたい、と思いますね。
この歌をライブで歌っている時、自分自身にも言っている歌やと思いますね。だって普段は一生懸命出来ない時もあるじゃないですか。でもその瞬間はやっぱり一生懸命歌わないと伝わらないし、そこはみんなメンバーとかスタッフとかも、ぐっとこの曲の時は集まる感じがしますね。



―ワタナベフラワーのライブは様々な工夫が凝らされていますが、ライブへの思いを教えて下さい。

クマガイさん 元々1時間半とか2時間のワンマンライブは、いろんな演出を自分達で考えてやっていました。でもお祭りやイベントに呼んでもらう機会が増え、時間的にも毎週ライブがあって、イベント出演の演出まで手が回らなくなったんですよ。またコロナ禍でライブが減って、1本のライブの大切さにあらためて気づいた。ワンマンライブにはいろんな事情で来れない、そんな人にとって短い時間のイベント出演のステージでも、その1回が全てじゃないですか。だからそこにもワンマンライブと同じぐらいの情熱をかけるべきなんちゃうかとメンバー同士で話をして、毎回その時しか見れない演出を作る。コスプレで演出しようとか、手作りでこんなことしようとか、時にはプロの手を借りて花火上げてみようとか、もちろん予算と時間の制約もありながらやるんですけど、その時その時しか見れない演出をやっていきたいですね。
三木にはこれまでにも何度か来たことがありますが、ライブに向けてはメンバーと話をして、掘り下げて考えていきたいと思っています。

―今後の目標を教えて下さい。

クマガイさん たくさんある中の一つに「紅白歌合戦に出たい」というのがあるんです。これは、最初の所属事務所の社長が、僕らが事務所を出て東京の事務所に行った時に「行ってこい。それでどうしてもだめやったらうちに戻ってこい」って気持ちよく送り出してくれた、めっちゃいい人やったんです。その社長が、僕らが東京でメジャーデビューした時にラジオにコメントくれたんですよ。その時社長自身は闘病中やったのに。その社長は嘉門達夫さんの幼馴染みで、「俺は(嘉門)達夫も含めていろんなやつを紅白に送り出してきたけど、ワタナベフラワーも絶対紅白行けるから、コツコツやれ」って。僕、紅白はそんなに好きやなかったんですけど、僕らが出て社長の言葉を証明したい。社長はその後亡くなられたんですけど、自分が歌っているうちに実現したいですね。なんかね、「白組トップバッター、ワタナベフラワーです」って、白組のトップバッターやのに赤い衣装で出る(笑)、お前なんやねん、みたいな感じを描いています。

―三木のライブにむけてメッセージをお願いします。

クマガイさん これはいつもライブで言っていることですけど、「知っているか知らないかじゃなくて、知ろうとする気持ちが大事」、「楽しいか楽しくないかじゃなくて、楽しもうと思う気持ちが大事」、これを伝えたいですね。楽しもうとした時点であなたは偉い。みなさんもぜひ楽しもうとしていただければ嬉しいです。ライブはみんなで作るものなんでね。



ワタナベフラワー メンバー全員に聞いてみた
【問】 三度の飯より好きなもの(こと)


クマガイタツロウさん(ボーカル)
【答】 漫画を読みながら寝る
その日に嫌なことがあってもこれをやれば幸せになります。

ムサさん(ベース)
【答】 アニソン(アニメソング)
伝説の名曲にもまだ見ぬ新曲にも、愛と勇気と友情と努力根性勝利熱血SF宇宙科学セクシーラブコメ無敵ロボットスペクタクル大河ロマンが詰まっているから。

イクローさん(ギター)
【答】 ラジオ
めちゃくちゃおもしろいのにまだ光が当たっていないお笑い芸人さんのラジオが特に好きです!

やっちんさん(ドラム)
【答】 機械
人見知りとパソコン好きが高じてITの仕事をしておりますが、モノの考え方やドラムのリズム、立ち居振る舞いもデジタル寄りです。

ichiさん(キーボ-ド)
【答】 古い鍵盤楽器
楽器1つ1つに個性があります。音も温かくて鳴りが気持ちいいです。最近は曲作りの時にWurlitzer 200Aを弾いています。



ワタナベフラワー プロフィール
Vo.クマガイタツロウ Gu.イクロー Ba.ムサ Key.ICHI Dr.やっちんの5人で活動中のワクワクロックンロールバンド。
「ブルーハーツやキダタローさんばりに15秒くらいで覚えられておもしろい音楽。」と「あんまり何を言ってるか分からないけど楽しそうなMC」で様々なお祭り、ライブハウス、幼稚園のイベント等に出演。
NHKみんなのうたを始め、TVCMタイアップ等も長年活動してるだけあって物凄く多い。
ヴィッセル神戸応援大使を始め、多くの応援大使も務める「応援番長」でもある。
バンドとして初の神戸市との公民連携を結び、神戸市公認のバンドとなり「本当にいいの?」と困惑しながらも頑張っている。
KissFM KOBE、ラジオ関西、明石ケーブルTVにレギュラー出演中。
公式ホームページ https://watanabeflower.com/

三木労音12・1月例会(第198回)
ワクワクロックンロールバンド ワタナベフラワー LIVE in みき
2024年1月14日(日)14:00開演
三木市文化会館小ホール
参加費 会員/会費のみ 一般/親子ペア券4,000円
※親子ペア券は大人1名+中学生以下のお子様1名の料金です。
※大人1名の参加の場合も同額になります。
※その他に高校生、障がい者割引有。また子ども人数追加の場合などはお問合せ下さい。
三木労音会員へ入会希望の方は、チラシ裏の入会申込書に会費2か月分(ワタナベフラワー例会から参加希望の方は12・1月分)と入会金(1,000円)を添えて、三木労音会員か事務局までお申し込み下さい。
ホームページからの入会申込みはこちら→http://www.mikiroon.com/info.html
詳細は三木労音事務局 TEL 0794-82-9775、またはメールinfo@mikiroon.comまでお問い合わせください。

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